表情(visible trait)に関するAI活用と医療・公衆衛生との接点における、倫理的な諸問題を検討する研究が始まります。この研究はセコム科学技術振興財団の助成を受けるもので、3年間の期間が予定されています。
AIを駆使して、本人の表情や歩き方、話し方、筆跡など、外に現れる表情・行動の情報をより深く多角的に検討することで、本人の疾患予測や遺伝学的構成を評価しようとする取り組み、関連する成果の報告が相次いでいます。
こうしたアプローチによって、従来では診断が難しかった疾患、特に希少疾患・精神神経疾患に関する知見が得られることへの大きな期待があります。また、潜在的な患者・兆候を特定し、早期の介入をできる可能性、一種のスクリーニングとして用いることの公衆衛生上の意義もあります。一方、こうした疾患フェノタイピングを外表面の情報を素材・手段とする場合の倫理問題について、従来の倫理や法制度が想定しきれていなかった課題・議論の空白も指摘できます。
本研究では、この領域の動向・議論の方向性を整理しつつ、事例の収集と架空ケースの作成をもとにして、倫理面での配慮事項の整理・提案をすること、問題を考えるための教材を作成することを目標としています。
3月に東京で授与式があります。
