タイトル:「患者・市民の視点から見た診療情報の利活用とオプトアウト:制度上の要件と対応への懸念」
著者:亀山純子、井上悠輔
病院 Vol.83 No.8
要旨: 本研究は、医療AI開発のための診療情報の二次利用とオプトアウト方式に関する患者・市民の視点を明らかにすることを目的としている。18名の患者・市民を対象にフォーカス・グループ・インタビューを実施し、診療情報の研究利用に対する賛同と懸念の両面を分析した。
多くの参加者が医療の発展のための情報提供に前向きな姿勢を示す一方で、情報提供の方法や期限、説明の不足に対する懸念も表明された。特に、病院の掲示板やウェブサイトのみによる通知の不十分さや、オプトアウトの期限が過ぎていることへの不満が指摘された。
分析結果から、患者への丁寧な説明と同意取得の重要性、通知方法の改善、オプトアウトの機会の確保などが改善策として浮かび上がった。これらの知見は、患者の信頼を得つつ診療情報を有効活用するための方策の検討に寄与すると考えられる。