コロナ禍やこれを受けた法改正により、地方衛生研究所の意義が改めて注目されています。一方、これらの機関における倫理審査プロセスに関する研究は限られています。私たちは全国85の地方衛生研究所における委員会の設置状況や準拠している指針、委員構成等を検討しました。
井上 悠輔, 佐藤 眞一, 李 怡然, 三村 恭子, 北尾 仁宏, 神里 彩子, 武藤 香織
地方衛生研究所における倫理審査委員会:設置状況と課題
日本衛生学雑誌 80 , 印刷中
主な結果:
・全国85機関のうち、約半数(41機関、48.2%)が委員会の設置を公開
・審査件数は機関によって大きな差があり、0件や1件のみの委員会も存在
・古い研究倫理指針に従っている・準拠する指針を明示していない委員会があった
・外部委員のいない委員会(少なくとも2機関)や市民代表のいない委員会(4機関)が確認された
通常の倫理審査に比べて、「地域」「公衆衛生」について特徴ある検討が必要になる場合があります。検討を進める中、今後も委員会の審査とそれを支援する経験の蓄積や共有が必要と感じました。